大和方言小辞典

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奈良盆地南部周辺で比較的よく耳にする方言を集めてみました。
関西一円でポピュラーなものもあるかもしれませんが、中には奈良市へ行くと全く通じないものもあります。

まあ、笑ってやってください。

大和弁 標準語
あごた あご  
あやかす 世話をかける。厄介をかける。 これを使うのはかなりご年配
あんじょう 上手く  
いがむ 歪む よく使います
いこる 火に勢いがつくこと  
いちびる ふざける 「いちびり」といえば、すぐふざける人のこと
いと おじょうさん 大阪では「いとはん」が長女、「こいさん」が次女(?)
いぬ 帰る 「いのか」で「帰ろか」の意味になる
いのく 動く  
いらう さわる よく使います
いろめし。いろごはん。 炊き込みごはん  
いんきょ 分家  
ええし 金持ち。資産家。  
えらい @くるしいA大層。大変。  
おいど お尻  
おたびら あぐら  
おっさん 寺の住職  
おとろしい 面倒だ 関西一般では「恐ろしい」の意味で使われるが、この辺では意味が違う。
しかし、現在でも非常に頻繁によく使われる代表的な方言。
おとんぼ 末っ子  
おん。おんた。  
おんづまり 無理が引金となって、身体を壊すことや、
永年の借金が積み重なって、
どうにもならなくなること。
 
かいとまーり。かいとまわり。 青大将(蛇) 青大将のなかでも、特に、街中に出没するもののみを言う
かく 持つ 「ちょっとそっちかいて」で「ちょっとそっち持って」の意味になる
かっちん 樫の実 よく使います
かぶる 噛む よく使います
きさんじ 素直な  
きずつない 恐れ多い  
きちゃる 来ている  
きっしょ しおどき  
きゃる 来る  
ぎょーさん たくさん よく使います
きょーび この頃。最近。 よく使います
きんの 昨日  
ぐいち ちぐはぐなこと  
くくる 縛る よく使います
ぐるり 周囲 よく使います
けつかる 〜している 罵倒語
げべ 最後。びり。  
げんろく 膝頭 膝ががくがくすることを「げんろくが笑う」と言う
こすい ずるい  
こそばい くすぐったい よく使います
ごっとさんにすわる 正座する 「ごちそうさま」の座り方、という意味か(?)
こまこい けちな。倹約な。  
ごんた わがまま 特に小さい子供の「きかんぼう」に対して使う
しがむ 噛む  
すか はずれ よく使います
すかたん 軽率な者。失敗。  
せたらう 背負う  
せわしい 忙しい  
せわしない 忙しい よく使います。
「せわしないやっちゃな」(忙しい人ですね)
せんど 何度も  
たばる 神仏への供え物を下げること よく使います
ぢぢむさい。じじむさい。 年寄りくさい  
ちょっきり ちょうど  
つむ 込み合う  
でこちん  
でらい 大きい  
てれこ 反対  
てんご いたずら  
でんぼ おでき  
とうに 早く  
どっちみち 結局 よく使います
どべ。どべっちょ。 最後。最終。 よく使います
なおす 片付ける 現在でも非常に頻繁によく使われる代表的な方言。
にぬき。みぬき。 ゆで卵  
ぬくい 暖かい。温かい。  
ねぶる なめる  
はくせん くしゃみ 「ハクション」が訛った?
はしかい。はしこい。 すばしっこい  
はた 傍。横。  
はぢし 歯茎  
ひどっこい はなはだしい。ひどい。  
ひやこい。ひゃこい。 冷たい  
ひゃわい 路地。隙間。  
ひんがらめ 斜視  
ぶく 服喪中  
ほーせき お菓子 昔はお菓子は宝石のようなものだった?
ほかす 捨てる 現在でも非常に頻繁によく使われる代表的な方言。
ほだらいこ 根拠のはっきりしないこと。いい加減なこと。 2011/7/4 追加
ほべた ほお  
まっか まくわ瓜  
まにあう 役に立つ  
まわり 準備。用意。 現在でも非常に頻繁によく使われる代表的な方言。
めばちこ ものもらい  
めん。めんた。  
もっぺん もう一度  
もむない まずい  
やーこ。ややこ。 赤ちゃん  
やつす 化粧する。おしゃれする。  
ゆんべ 昨夜  
よさり  
よそう ご飯などを茶碗に入れること  
わや。わやくちゃ。 無茶。駄目。無暗なこと。  

 

桜井周辺では、「チャル言葉」というのが他の地域の方言一番の違いになっています。

「書く」+「てある」→書いちゃる
「書く」+「ておる」→書いちゃる

この応用で、みちゃる、きちゃる、しちゃる、のように使います。

山川出版社の「県史シリーズ29 奈良県の歴史」9ページに「大和の方言番付(手ぬぐい)」が載っていますが、ほとんどわかりません。

横綱の「はくせん」と前頭の「おとろし」が共通するのみです。

行司の所に記載がある「しゃしゃりでる」(でしゃばる)は標準語のように感じてしまいます。

時代のせいか、つまり、死語になってしまったせいなのか、それとも奈良盆地北部では通じるのか、その辺りはよくわかりません。

参考文献 ) 奈良県のことば(明治書院)